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2024年問題

運送会社を売却するには?M&Aで売却成功への戦略を練る

2024.10.29 09:31:46

1. 運送業界が直面している課題

2024年問題以降、運送業界はいくつもの問題に直面しています。

例えば、トラックの調達や燃料のコスト増加の問題です。

国内のトラックは、世界情勢の緊張や部品の調達難などの理由から、安定的な価格での調達が難しい状況に直面しています。

中古トラックの在庫状況も基本的には新車トラックの状況に連動するため同様の傾向が生じています。

トラックや燃料の問題と並行して、人材不足の問題も同様です。

2024年の働き方改革関連法により、自動車運転の業務における時間外労働の上限は年960時間に規制されました。

働き方改革関連法が施行される前からドライバー業は、労働環境などの問題から懸念されていたドライバーの人材不足がより深刻になったという状況です。

これらの状況がいつどのように終息するのかについては、まだまだ不透明であり、業界全体での対応が求められています。

2. 運送会社の売却にM&Aを利用するメリット 

MAを利用することでさまざまなメリットが得られる可能性があります。

そのメリットにより、現在運送業界が直面している課題の解決につながるケースもあるかもしれません。

具体的に期待されるメリットは以下のとおりです。

・雇用継続の問題

・債務返済の解決

・後継者の問題

など、それらの課題に直面している中小企業は、M&Aを検討するとよいかもしれません。

3. 運送会社の売却やM&Aの流れ 

運送会社の売却を検討している方にとって、M&Aの流れを把握しておくのは重要です。

運送会社を売却する際の流れを解説します。

3-1. 運送会社の売却やM&Aを取り扱う会社に相談する

売り手企業は、最初にM&A取引を行っている仲介会社を通じて検討されることが多い傾向にあります。

仲介会社は、M&Aに関する知識・ノウハウ・経験を有しているため、依頼しない場合よりさまざまな面でメリットが得られる可能性があります。特に、運送、物流、流通の領域を専門的に扱っていたり、得意分野としていたり、経験や知見を有する仲介会社の場合は、より有益なアドバイスやコンサルティングも期待できる場合があります。

具体的に仲介業者を利用した場合に、役立つ場面は、以下の点です。

・企業価値の評価

・事前検討事項の精査

・買い手とのマッチング

・条件交渉

など、M&Aの仲介業者は多くの業者がある中で、それぞれの強みも異なります。

運送会社の場合は、運送業界の知見に明るい仲介業者に依頼するとよいでしょう。

3-2. 秘密保持契約(NDA)・決算書類などの確認

M&Aの仲介を依頼する会社が決まったら、秘密保持契約書等、必要な書面の締結をします。

企業の重要な情報を守り、情報漏えいを防ぐための措置を定めたもので、経営に関する重要な情報や個人情報などが

やり取りされるため秘密保持契約は不可欠です。

M&Aの契約手続き中に、事実が従業員や顧客に漏れた場合、大きなトラブルが予想されるため、確実に書類を交わして、

トラブルを未然に防ぎましょう。

秘密保持契約を締結、決算書類を含め株式価値を算定するための情報を開示し、株式価格の算定など、買い手に必要な会社の情報を記載した資料(Information MemorandumIM)をM&A仲介会社が作成をします。株式価値の算定は、価格交渉のベースになりますので、直近3年~5年分の程度を準備しておくとスムーズでしょう。

3-3. アドバイザリー契約、質問回答、意向確認

株式価値の算定後、内容に問題がなければ詳細の確認を進めます。

買い手候補と売り手候補が、双方に詳細を開示して売買の判断をできる状態にすることが重要です。

具体的には、アドバイザリー契約を締結し、資料を買い手候補の企業に提出します。

資料の具体的な内容は以下のとおりです。

・過去の財務諸表

・法務関連書類

・組織図、構成図

・不動産・設備・車両に関する書類

・事業計画、市場分析や競合分析

など、買い手候補の企業は、利益性やシナジーを資料で精査し、買取に値するか否か、どの程度の金額で買い取るべきかなどの判断をします。

情報がそろったら、経営者同士がM&Aの目的やビジョンに関する質疑応答を始めます。質問回答は、双方の理解を深め、合意形成のための重要なステップとなりますので、質問応答から本格的なスタートであるともいえます。

3-4. 経営者同士で話し合う

商談が進み、本格的な詳細を詰める段階に入ると、経営者同士で話し合いの場のセッティングがされます。

面談の大きな目的は相互理解です。M&Aが成立した後、同じ企業となることも意識して面談をおこなうことで、有意義な結果が得られるでしょう。

また、対面での場では、条件面の確認だけでなく、互いの経営陣の人柄や特徴などを確認する場としてもとても重要です。

面談には経営者の他に、売り手側の株主や買い手側の各部門の責任者、M&A仲介会社の担当者なども参加します。

事前に資料を提示していることから、面談は一度だけ実施されるケースも多いのですが、交渉の最初から最後までの期間に複数回行われる場合があるでしょう。

3-5. 基本合意を締結

運送会社のM&Aにおける次のステップは基本合意の締結です。

M&Aに関する基本的な条件について、両者の意向が一致した内容を記載した基本合意書を作成します。

基本合意書に含まれる一般的な条項は以下のとおりです。

l   取引の内容

l   表明保証

l   善管注意義務、秘密保持義務

l   独占交渉権、契約期間

l   準拠法と管轄する裁判所

l   デューデリジェンス(売り手側の企業のリスクとリターンを適正な評価)の実施と協力

など、合意書を交わしたからといって、それ自体がM&Aの成約を意味するわけではなく、基本合意書のすべての条項が法的拘束力をもつわけではありません。どの条項が法的拘束力を持っているかは、基本合意書の中で明確に定められています。

一般的に、基本合意書の時点で法的拘束力をもつのは、独占交渉権、秘密保持契約、デューデリジェンスなどになります。

3-6. デューデリジェンス(買収監査)、最終合意契約の締結(クロージング)

デューデリジェンスとは、買い手企業が売り手企業に対して行う徹底的な調査(監査)のことで、弁護士や会計士などの専門家を含め、法務・財務・人事などの各分野において企業の実態を調査します。

その結果によっては、基本合意内容の変更、M&Aの方法、買い取り価格が変更になるケースもあり、

場合によっては交渉自体が白紙に戻る可能性もあります。

売り手企業は、調査に必要な資料の提出に協力し、誠実な対応を心がけるようにしましょう。

また、リスクとなる要因を事前に洗い出し対処しておけば、M&A取引をスムーズに進められるでしょう。

最後に、デューデリジェンスの結果、買収側がM&Aを実行すると決定したら、最終的な条件交渉が行われ、その内容すべてに買収側、売却側が合意した時点で最終合意契約が締結されます。基本合意書とは異なり、この最終契約書はすべての条項が法的拘束力を持ち、それ以降の一方的な変更は原則として認められません。

4. 運送会社における売却金(譲渡金額)についての考え方      

運送業の会社を売却する際、費用相場について理解するのも重要です。

費用相場を把握していれば、価格設定が高すぎてM&Aが思うように進まない事態や、

安すぎる価格で大切な会社を買われてしまう事態を避けられるでしょう。

売却相場は以下の計算式で求められます。

・事業譲渡の場合:「事業資産+事業利益の25年分」

例えば、事業資産が3,000万円、事業利益が2,000万円の場合、計算式に当てはめると7,000万円~13,000万円の範囲となります。

・株式譲渡の場合:「時価純資産+営業利益の25年分」

例えば、時価純資産が5,000万円、営業利益が2,500万円の場合、計算式に当てはめると1億円~17,500万円の範囲となります。

MA仲介会社に依頼する場合、業務委託契約を締結する際の着手金や、意向表明か基本合意の時点で支払われる中間報酬などが発生する場合があります。

5. 運送会社の売却やM&A時の注意すべきポイント

M&Aで売却を試みる場合、専門家や業者のサポートを借りながら、幅広く情報を集めることが必要になります。

以下の注意点を念頭に計画を練りましょう。                             

5-1. 自社の価値を理解する

運送会社のM&Aでは、自社のアピールポイントを把握していることが、交渉成功のカギとなります。

そのためには、交渉前に資産状況や収益についてだけでなく、自社の強みやアピールポイントを明確にしなければなりません。

5-2. 買い手へのアプローチを幅広く検討する

売却を成功させるには、さまざまな買い手へのアプローチが重要で、必ずしも同業者だけではなく、投資家や運送業以外の企業など、幅広い分野で買い手を探すことで選択肢が広がります。

例えば、運送業を営んでいない企業であってもM&Aによる参入や物流業務の内製化を検討されている企業なら、マッチングの相手によっては、シナジーが生まれる可能性も十分にあります。

幅広く買い手へのアプローチを試みるためには、M&Aを専門に扱う業者の助けを借り、買い手のニーズや関心を見極めなければなりません。

5-3.  「一般貨物自動車運送業許可」は時間がかかる

運送会社に必要な「一般貨物自動車運送業許可」は時間がかかります。

通常、許可取得には13ヶ月かかるため、それを十分考慮に入れたスケジュールを組まなければなりません。

2つ以上の管轄区域を運行する場合や、起点から終点まで100キロ以上となる場合は、地方運輸局長権限ではなく大臣権限となり、認可に36ヶ月におよぶケースもあります。

また、許認可が自動で引き継がれない、あるいは認められないケースもありますのでご注意ください。

M&Aのスキームが事業譲渡や株式譲渡の一部である場合や、買い手の会社が資金・施設・試験合格などの条件を満たしていないケースです。

専門家のサポートのもとに十分な準備・交渉期間を設けましょう。       

6. 運送会社の売却やM&Aならヤマトリースへご相談を

運送会社のM&A、物流、また流通の分野でのお悩みなら、ヤマトリースへぜひご相談ください。

ヤマトリースは、運送業界に特化したM&A・事業承継、業務提携等を展開しており最適なご提案を差し上げます。

ヤマトリースの強みは以下のとおりです。

・財務内容に加え、運送会社特有の要素である立地、トラック、荷主、ドライバー、安全などにも注目した提案

・アドバイザリーの立場で話し合い、成立まで徹底サポート

・トラックリース、中古車売買で培った車両査定技術による査定

・「借入金がある」「債務超過である」といった場合でも、購入希望者を見つけられる可能性があり

・企業規模に関わらずすべての運送会社の支援が可能

・売却を検討している会社、買収を希望している会社のデータベースを独自に構築し、マッチングを推進

・事業承継、認可譲渡、業務提携など、事業全般に関わる内容の精査

運送会社の目線に立ち、従業員の雇用継続や荷主様との取引継続も含め検討の対象としています。

ヤマトリースは、ご希望条件のヒアリングから、最適なM&Aの提案、会社の売却金額の査定までワンストップで承っております。

まずはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

ヤマトリースお問合せフォーム 

7. まとめ

M&Aによる会社の売却は2024年問題やドライバー不足などの運送業界が抱える課題の解決策として有効です。

運送会社の売却にM&Aを利用するメリットは、後継者問題の解消や資金確保、雇用の維持などが可能になる点です。

まずは適切なM&A取引の仲介会社を選定し、準備段階から交渉・契約までをサポートしてもらいましょう。

運送会社の売却でお悩みなら、ぜひヤマトリースにお問い合わせください。

ご希望の条件をもとに最適なプランをご提案し、問題解決まで一貫してサポートいたします。